兵庫県明石市にある 青楓館高等学院 では、
年間を通した性教育授業を実施しています。
対象は全校生徒、自由参加の形式で
4月と8月を除いた毎月1回、1コマ2時間枠。
「人間関係の深まり」と「人生のステップ」を軸にしたテーマで授業を進めています。
青楓館高等学院での授業は今年で3期目になります。
連続だからこそできるテーマ設定
授業は Chapter1〜10 まで、一つの人生のような流れがあります。

- 出会い
- これって好き?
- 付き合うということ
- 体の関係
- 2人の距離感(継続、別れ)
- 恋愛しない
- 結婚する?しない?
- 妊娠出産
- 子育て(キャリアプラン)
- HAPPYな関係
単発授業ではどうしても「知識の断片」で終わってしまいがちですが、
年間を通すことで、生徒自身が今の自分を見つめ、未来を想像しながら考えることができます。
さらに、今年受けられなかった回は翌年に受講できる柔軟さもあります。
授業では、テーマに合わせたワークやディスカッション、動画視聴、書籍紹介(漫画も!)、
さらには実物を手に取って学べる機会も用意。
知識だけでなく、感覚や価値観にもアプローチします。

生徒の言葉から見える「考える力」
授業の前には、その時の回の内容に合わせた事前アンケートをとったり、
授業の中で生徒たちの意見を聞いたり、ディスカッションしてもらったりもします。
そうすると、予想以上の答えが返ってくることが多々あります。
ある日、「付き合うってどんなこと?」という問いかけに返ってきた答えでは
「自分の人生の4分の1くらいを共有すること」
という一言があり、私自身もハッとさせられ、大きく頷きました。
他にも「それわかる!」「まさにそれ!」と共感が広がる場面が多く、
生徒同士の価値観の交流が授業を豊かにしています。

授業内容の進化と成果
初年度はテーマごとの構成でしたが、参加率は思ったほど伸びず…。
「知識を持つことは大切だ」という性教育の土台が乏しい日本では、
高校生でも「恥ずかしさ」が先に立ち、参加のハードルが高くなることも。
そこで2年目以降は、人と人との関係性や人生のステップを柱に据えた構成に変更。
これにより、自分の今や未来に置き換えやすくなり、参加も定着してきました。
性教育は知識を渡すだけではありません。
- 答えのないことを考える
- 自分の生活に落とし込む
- 他者の価値観を知る
- 自分の選択に向き合う
そうした「考える力」を育む場であることを実感しています。
今後は、授業時間以外でも性の話題をフラットにできる空気を育み、
ディスカッションの時間もさらに充実させたいと思っています。
これから
この理想的な形の年間性教育が実現できているのは、
青楓館高等学院の関係者や先生方、生徒のみなさん、そして保護者の方々のおかげです。
本当にありがとうございます。
これからも、生徒一人ひとりの未来のためになる、より良い授業を作り上げていきます。